就農5年、会津のジーンバンクへ(福島県会津坂下町)
余蒔きゅうり、会津丸なす、庄右衛門ささぎ、檜原ささぎ、これら会津の伝統野菜は福島県会津坂下町の畑からやってくる。採種するのはリオリコ農園を営む豊川夫妻(=右写真)。農園では農薬や化学肥料を使用せず、会津の伝統野菜を中心に広く固定種・在来種の野菜を生産する。自家採種にも積極的に取り組み、生産する野菜の大半は自家採種によってまかなわれている。現在、農園には多くの在来野菜の種子が集まり、会津地方のジーンバンク(シードバンク)の役割を担いつつある。栽培を担当する夫・庸平氏は「会津の地ダネを一番持っている自信がある。」と笑顔を見せる。
就農のきっかけは2011年の東日本大震災。原発計画を推進した人も、原発作った人も引退し、誰ひとりとして責任を負えない状況を目の当たりにした庸平氏は、原発はやめたほうがいいと強く思った。庸平氏は高専出身。学生時代におこった東海村JCO臨界事故や高速増殖原型炉もんじゅの事故の記憶も呼び覚まされ、その考えはさらに強まった。工学系エンジニアを退職、約3年の研修を経て2018年に独立、リオリコ農園を立ち上げた。
―「あとは野となれ山となれ」
―大きい会社がたくさんのお金を持っていて、立場の弱い人が苦しめられている
「当時はこんなパンクな考えを持っていました」と庸平氏は笑う。この10年でその考えは少しづつ変化したようで、「実際に農業にたずさわっているうちに、バトンを次に渡していくことの大切さを強く感じるようになりました。最近はエレガントなパンクを目指しています。」と話す。(右写真=キュウリの種子を採る庸平氏)